LA通信 >2001.09.15
 



事件をきっかけにひとつになるアメリカの人たち

今、アメリカはたいへん興味深い状況です、というのは多発テロ事件の後、人々は怒りや悲しみを前面に押し出すのでなく、協力、励まし、愛情を前面に出し、アメリカの復興を応援しているのです。
今回の事件を通してアメリカの人々はひとつにまとまっているかのようです、それも前向きな方向に。

私の住んでいる近所でも、人々はアメリカの国旗を家や車に掲げて愛国心を表し、キャンドルに灯をともし犠牲者に対して哀悼の意を表しています。
事実アメリカの犯罪は事件の後、減ったといわれています。

昨日、TVで現役のブッシュ大統領を始め、クリントン、ブッシュ父、カーター等の歴代の大統領も出席して、大きな犠牲者哀悼のセレモニーがワシントンの教会で行われました。
その中で私がいいなと感じたのは、クリスチャンの神父だけで無く、イスラム教とユダヤ教の神父も招待されスピーチをしていたことです。
そしてそのセレモニーで"愛は憎しみよりも強い"、"宗教や人種を超えてアメリカはひとつ"というメッセージを、国民に向け積極的に送っていたことに感銘を受けました。

今日、今回の事件に対する子供達なりの意見を討論している2つのTV番組を見ました。
どんな意見を子供達が持っているのだろうと興味を持って聞いていたら、ほとんどの子供達は大人と同じか、それ以上にまともで、筋の通った意見を持っていることに驚きました。
11歳の黒人の女の子は"他の国と戦争をしたら、そこにいる罪の無い人たちも、ニューヨークで亡くなった人たちと同じように死んでしまい、残された家族達も同じように悲しむ。
国が違っても同じ人間同士、戦争は問題の解決にはならない"とはっきりした主張をしていたし、10歳ぐらいの白人の男の子は"We created it:私達がこの事件を引き起こしたんだ。 武器や技術をいっぱい外国に売って"と言っていました。

事実アメリカは武器の輸出大国でもあります。
他にも中学生や高校生ぐらいの子供達も多く出演していて、みな同様の意見を持っていました。
10歳そこそこの子供達があそこまでしっかりと意見を持っていることに驚くと同時に、子供達のシビアな目と発言力に関心しました。
あと高校生ぐらいのメキシコ系の女の子の"未来は私達の世代が築いていくんだ"と言う言葉に、子供達の可能性とこの国の持っている底力を感じました。

この数日間のこうした動きを見ているうち、最初私が持っていた戦争への不安が少しずつ薄れて来ました。そして、もしかしたら今回の事件が、世界の人々の協調、そして本当の意味での平和へのスタートになるのではないかと考えられる様になって来ました。

こうした動きに応えて、ブッシュ大統領がアフガニスタンを爆撃するという考えを捨てて、各国と力を合わせてテロを撲滅することにより力を注ぎ、本当の意味で問題を解決するような方向性に変えていくことを願います。
なぜならテロを起こした側にも、何でアメリカを憎むのかという理由があるからです。彼らはただのクレイジーでは無く、中東における過去のアメリカを始めとする西側諸国の行いの被害者でもあるのです。それを理解しようとしないで、爆撃だけをすれば、また過去の過ちを繰り返すだけになるでしょう。

私は日本ではどんな形で、今回のテロ事件とアメリカの現状が報道されているか分かりませんが、単に悲惨な状況を伝えたり、アメリカの軍事行動を支持する意見だけでは無く、これら前向きに人々が考え、助け合い、意見を交わし、問題の解決に取り組んでいる姿もぜひ伝えてられていることを願います。
そして日本においても家族や友人、身近な人たち、そして子供達とも多くの討論、意見交換がなされることを期待します。
私も自分の子供はいませんが、日本にいる甥っ子、姪っ子を含めて家族、友人とはぜひ話をして行きたいと思います。

現在、日本では景気の後退や犯罪の増加、また今回のテロ事件などで、もしかしたら暗い不安な雰囲気が満ちているのかも知れません。
しかしひとりひとりが気持ちを前向きに持ち、また自分の身の周りの人たちと協力し、助け合い、そして積極的に建設的な意見を出し合って行けば、現状を乗り越え、明るい将来を築くことは可能なのではないでしょうか。
旅客機がワールドトレードセンタービルに突っ込み、爆発した映像を見て"戦争を思い出した"という方たちがいます。
私は戦争を経験したことはありませんが、体験者の生の話を聞いて、その悲惨さや悲しみを多少は感じることが出来ました。戦争を体験された方達には、ぜひその体験を次の世代や子供達に伝えていって欲しいと思います。なぜなら子供達の世代が未来を作っていくのですから…