4月30日の晩、ABCネットワークのTV報道番組“NiteLine(ナイトラ イン)”にて、“the Fallen(戦没者)”と題した番組を放映していました。
番組内容は極めてシンプル:イラク戦争で戦死した兵士721名全員の写真を2名づつ映し、同時にその名前を読み上げていくという内容です。
アメリカに住んでいる私たちは、「今日〇名のアメリカ兵士が死亡しました」というニュースを毎日の様に聞 いており、そしてそれを聞く事に慣れて来てしまっているように感じます。
しかも一般のニュースでは死亡した兵士の名前や年齢を伝える事は少なく、遠い他国に出来事 の様に感じていても無理はありません。
しかし今回のナイトラインで、40分近くも 続けて映し出される兵士達の写真(そのほとんどが20代の若者)を見ていると、イ
ラン戦争が将来ある多くの若者達の犠牲により行われていることを、改めて実感させ られました。
4月はファルージャでの戦闘が激化し、過去最高の134人もの死者を出しています。 そしてアメリカ軍はモスクをも爆撃の対象としました。
また日本人がイスラム過激派に拉致された事件も発生し、自衛隊のイラク駐留にも大きな波紋を呼んでいます。
昨年の5月1日にブッシュ大統領が行った戦闘終結宣言から一周年を迎える今、 皮肉な事に戦闘は更に激化をたどっています。
現在アメリカでは9−11(ナインイレブン)同時多発テロに関する調査委員会(9 −11コミッション)が設置され、それをなぜ政府が防げなかったか、どうそれに対応したか責任を追及しています。
この調査委員会の設置にはブッシュ政権は執拗に反対していました…その事実関係が明らかになるのを恐れていたのでは。
しかし議会の強い要求によりそれは実現し、クリントン政権とブッシュ政権の主要メンバー(両大 統領と副大統領を含む)に対するインタビュー、公聴会を現在行っています。
残念な がら両大統領に対するインタビューは非公開で行われましたが、それ以外の多くのス タッフは公聴会と言う形で行われ、一般の人たちもその様子をTVやラジオなどで聞
く事が出来ました。
公聴会の中で9−11当時のテロ対策チーフだったリチャード・クラーク氏は、「テ ロが起こる7日前にテロの危険性を警告した」と証言し、それに対しブッシュ政権は
テロ対策を最優先事項として認識していなかったと語っています。
彼は既にテロ対策 に対するブッシュ政権の認識不足を、自身の暴露本の中で批判しています。
その著書 の中で、クリントン大統領はオサマ・ビンラディンやアルカイーダによるテロの危険性を、非常に高く認識していたこと。
そしてブッシュ氏に大統領の席を譲る際にも、 テロ対策の重要性を伝えていたと語っています。
にも関わらずブッシュ政権では充分 なテロ対策が講じられず、9−11同時多発テロの発生を許してしまったと述べてい ます。
またブッシュ政権が強く拒んでいたコンドリーザ・ライス大統領補佐官の公聴会での 証言が、議会の圧力により実現しました。
その中で彼女は、テロが起きた約1ヶ月前 の8月6日付けのFBIによる「ビン・ラディン、アメリカ攻撃を決意」と題された メモの存在を認めましたが、「9−11テロを特定する情報は無かった」と大統領の
立場を弁護しました。
トップシークレットだったこのメモには、FBIが「国内にい るテロリストがハイジャックの用意をしていると考えられる」などと警告がされてい
ました。
公聴会の中で彼女は一貫してCIAとFBIのコミュニケーションの悪さ、 必要な情報システムが構築されていなかったことをテロを防げなかった理由としてい
ました。
この9−11コミッション(調査委員会)はまだ続いており、その結果がまとめられるのはまだ先になりそうです。
しかしこの調査を通して一般の人たちがブッシュ政権 に対する不信感を更に募らせるのは間違いないでしょう。
イラク戦争の泥沼化、多く のアメリカ兵が毎日死亡する中、ブッシュ政権に対する風当たりはますます強まって います。
前述のTV番組“TheFallen”に対して共和党のジョン・マッケイ ン議員は、反戦的であり、愛国的で無いと批判しています。
しかしこのイラク戦争に おける多くの戦没者の存在を知ることは、その人たちに敬意を表す意味でも、アメリ カに住む一般の人たちにとってとても大切なことではないでしょうか。
戦争は悲惨な ものであり、それを起こした大統領に投票したのは他ならぬアメリカ市民なのですか ら。 MAMO (Nature’s
Story USA/ロスアンゼルス)